斎藤記念川口現代美術館開館

1994年04月

1970年代以降の日本の現代美術品を収集・展示する私立美術館「斎藤記念川口現代美術館」(須賀忠治館長)が2日、開館。美術篤志家の斎藤規子の「美術を通じて公益に資したい」とする意志を受けて、親戚関係にあたる株式会社ローザ社長、同社専務で彫刻家の建畠覚造らが中心となり、平成元年2月に準備室を発足。現代作家の作品を収集することにより、美術活動を支援していく方針で、今後は収蔵コレクション展を中心に開催していく予定である。開館記念展は「土屋公雄―来歴―」(4.2~5.29)。 

第44回芸術選奨受賞者発表

1994年03月

芸術の各分野で昨年1年間に優れた業績をあげた人に贈られる芸術選奨の受賞者が9日、文化庁から発表された。美術部門では彫刻家土谷武(67)(「土谷武展」特に「植物空間」シリーズに対して)、陶芸家中村錦平(58)(「東京焼・中村錦平展―メタセラミックスで現代をさぐる」に対して)が受賞。また新人賞には写真家大石芳野(49)(写真集「カンボジア苦界転生」に対して)が選ばれた。授賞式は17日、東京・上野の日本芸術院会館で行なわれた。

静岡県立美術館にロダン館完成

1994年03月

静岡県立美術館にフランスの彫刻家オーギュスト・ロダンの代表作「考える人」「地獄の門」などを展示するロダン館、通称ロダン・ウィングが22日開館。総工費34億1600万円、鉄筋コンクリート一部鉄骨造り2階建て、延べ床面積約3000平方メートルの建物内に、ロダンの作品のほか、カミーユ・クローデル、ブールデルらの弟子の作品などを展示する。同館のロダン・コレクションは国立西洋美術館の50余点に次ぐ我国最大規模のものである。

松伯美術館開館

1994年03月

上村松園、松篁、淳之の三世代の日本画家の作品を収蔵・展示する松伯美術館が奈良市登美ヶ丘に22日に開館。近畿日本鉄道株式会社が、松篁、淳之両氏により上村家三代の作品の寄贈を受け、近鉄の寄付による10億円を基金に設立され、故・佐伯勇近鉄名誉会長旧邸の敷地内に建てられている。建物は鉄筋コンクリート(一部鉄骨)地上2階地下1階、延べ床面積約1520平方メートル、総事業費は約14憶円。寄贈された作品は草稿、写生等を含めて92点で、松園の作品3点、下絵61点、松篁の作品は20点、淳之の作品は8点となっている。

第16回マルコポーロ賞受賞者決定

1994年02月

イタリア文化の普及に尽くした著作に与えられるマルコ・ポーロ賞(イタリア文化会館主催)の第16回目の受賞者は、小佐野重利『記憶の中の古代』(中央公論美術出版)に決定した。

第37回安井賞展開催

1994年03月

故・安井曽太郎を記念し、若手具象洋画家の育成、現代美術の振興を目的に1957年に設立された安井賞(主催・財団法人安井曽太郎記念会、毎日新聞社、セゾン美術館)の第37回目の受賞者発表が昨年12月21日に発表されたのを受けて、4日から東京の有楽町アートフォーラムで「安井賞」展が開催された(~3.28)。全国の推薦委員から推薦された223作家による365点の作品の中から入選作45点が選ばれ、「安井賞」は本田希枝「漂流者」、「佳作賞」は木津文哉「岐」が受賞した。同展はセゾン美術館の後、下館市文化ギャラリー、尼崎市総合文化センター、いわき市立美術館、尾道市立美術館、秋田市立千秋美術館、福岡県立美術館、帯広市藤丸に巡回した。 

「戦後日本の前衛美術」展開催

1994年02月

戦後日本の前衛作家約100人による約200点の作品を「真夏の太陽に挑む:具体」「復讐の形態学:読売アンデパンダンと1960年代の社会的プロテスト」等、9セクションに分けて展示する「戦後日本の前衛美術」展が、5日から横浜美術館で行われた(~3.30)。米国からアレキサンドラ・モンローがゲスト・キューレイターに招かれ、その調査・研究によって日本の美術活動の自律性に注目すべく構成された。同展は同年9月から翌95年1月までニューヨークのグッゲンハイム美術館でも、内容を多少変更して展観され、日米の視覚の差異をうかがう意味でも興味深い企画となった。

「日本画の抽象」展開催

1994年02月

「日本画」とは何かを問う動きが高まるなか、西欧の抽象画に学び、日常的な視覚から遠くはなれる試みを行なった大正後期から1960年代までの日本画70点を集めた「日本画の抽象」展が11日から東京・大崎のO美術館で開かれた(前期~2.23、後期2.25~3.9)。一般に、伝統との結びつきを強調されがちな日本画の分野で、技法、様式の可能性を広げようとした作品群が並び、「日本画」の定着を再考させるとともに、制作の新たな展開を促す展観となった。

’93メセナ大賞決定

1994年01月

企業および企業財団による優れた文化支援活動を顕彰する「メセナ大賞」(主催・社団法人企業メセナ協議会)の第3回目の受賞者が決定。従来強調されてきた継続性に加え、今回は「地域への貢献」と「国際性」が基準として重視されたのが特徴で、大賞にセゾングループ(セゾン美術館の運営に対して)が選ばれた。他に美術関係では財団法人東芝国際交流財団(国内および海外の美術館・博物館への助成)、フィリップ・モリス株式会社(日本美術修復計画への支援)がメセナ特別賞受賞者に選ばれた。

第9回小山敬三賞決定

1994年02月

これまでに優れた作品を発表してきた中堅具象洋画家の業績を顕彰する小山敬三賞の第9回目の受賞者は新作家美術会会員の中野淳に決定し、2日、発表された。油絵海外修復技術調査研究費助成の対象者には学校法人高沢学園創形美術学校修復研究所の伊藤由美、美術文化の国際交流事業に対する助成の対象者には、東南アジアからの美術留学生を援助する機関として清春白樺美術館が選ばれた。油絵等修復技術海外研修費助成の対象者には該当者がなかった。 

文化政策推進会議提言

1994年01月

文化庁長官の私的諮問機関で、文化振興のための統合的施策に関して検討している文化政策推進会議(会長・坂本朝一NHK名誉顧問)は、11日、国際社会の中で日本が文化創造に貢献していくための文化政策の具体的提言を公表した。提言は「文化発信社会」をめざして文化庁予算の拡大、芸術文化振興基金の財政基盤の確立、文化活動支援のための税制優遇策や個人・企業等の顕彰制度設立を求めている。このための文化庁の連絡調整体制の強化、文相と知事クラスの、国と地方の高レベル共同協議の場の設定が求められ、国際間の人的交流、情報交換の活性化のために国立美術館、博物館等の施設・機能を充実させることが要請された。また在外日本美術品の保存のために、それらに関する情報を総合的に調査・収集するほか、計画的に保存・修復を推進すること、国際的な保存修復協力の拠点として東京国立文化財研究所のセンター機能を強化すること等が示された。

バーンズコレクション展開催

1994年01月

目薬の新薬開発により財をなしたアルバート・クーン・バーンズ(1872―1951)の2500点以上にのぼる美術品蒐集品のうち、質・量ともに世界最大とも言われる後期印象派の作品を中心に同コレクション中の優品80点を展観する「バーンズ・コレクション展」が、22日から国立西洋美術館で開催された(~4.3)。遺言によりアメリカ・ペンシルヴェニア州メイオンにあるバーンズ財団の収蔵品は売却・貸与、カラー複製、展示位置の改変が禁止され、公開もほとんどされていなかったが、建物の老朽化や諸設備整備に対応するため、ワシントン・ナショナル・ギャラリー東館での展観を皮切りに、パリのオルセー美術館を経て来日する巡回展が実施のはこびとなった。「幻のコレクション公開」とあって連日多数の入場者があり、美術展への関心の高まりを印象づける企画となった。

第35回毎日芸術賞決定

1994年01月

平成6年度の毎日芸術賞の受賞者が1日に発表された。美術関係では平成6年9月から12月にかけて東京、京都の国立近代美術館で行なわれた「柳原義達展」などが評価され、彫刻家柳原義達が受賞した。

「小林古径」展、「川合玉堂」展、「山本丘人」展開催

1994年01月

「日本画」が再考されてきているなか、「近代日本画の巨匠」とされてきた画家の大規模な回顧展が相次いだ。生誕110年を記念して、明治期後半から昭和32年に没するまで、歴史画花鳥画の分野に優作を描き続けた小林古径の画業を本画70点、下絵類18点によって展観する「小林古径」展が4日より23日まで東京の小田急美術館で開かれた。また、画家の生誕120年を記念し、初期から晩年までの作品70点により自然の風物を情緒豊かに描いた60余年の画業を回顧する「川合玉堂」展が開かれた(東京、日本橋高島屋、1.27―2.8、大阪なんば高島屋、2.24―3.8)ほか、3月19日からは東京国立近代美術館で「山本丘人」展が開かれ、日本画の伝統主義、画壇の権威に迎合せず、現在の創画会の前身「創造美術」の創立等、現在に至る日本画の流れに大きな足跡を残す画業が回顧された(東京国立近代美術館、3.19~5.8)。

サントリー学芸賞決定

1993年11月

財団法人サントリー文化財団が、政治・経済、芸術・文学、社会・風俗、思想・歴史の4分野において優れた研究や評論活動をした研究者、評論家に贈るサントリー学芸賞の平成5年度の受賞者が決まった。うち芸術・文学部門では、木下直之(兵庫県立近代美術館学芸員)の『美術という見世物-油絵茶屋の時代』(平凡社刊)、杉田英明(東京大学教養学部助教授)の『事物の声 絵画の詩-アラブ・ペルシャ文学とイスラム美術』(平凡社刊)、馬渕明子(日本女子大学人間社会学部助教授)の『美のヤヌス-テオフィール・トレと19世紀美術批評』(スカイドア刊)の三人に決定した。授賞式は、12月6日東京会館で行なわれた。

第5回倫雅美術奨励賞決定

1993年11月

優れた美術評論や美術史研究、創作活動に贈られる、河北倫明夫妻の基金による倫雅美術奨励賞の第5回受賞者が決定。美術評論部門で妹尾克己(岡山県立美術館)の「国吉康雄の『祭は終わった』について」(『美術史六つの断面』所載 美術出版社刊)、美術史研究部門で前川公秀(千葉県立美術館)著『水仙の影-浅井忠と京都画壇』(京都新聞社刊)、創作活動部門で洋画家池口史子が受賞した。授賞式は12月3日赤坂プリンスホテルで行なわれた。

縄文遺跡から絵画、装飾品発掘相次ぐ

1993年12月

6月に鹿児島県指宿市大園原遺跡で高床式建物の最古の絵画土器片が発見されたのをはじめ、7月に兵庫県神戸市西求目塚古墳から7面の三角縁神獣鏡、8月に大阪府柏原市船橋遺跡から4種の絵を描いた縄文晩期の土器片、12月に千葉県長柄町の長柄町横穴墓群から全国初の五重塔線刻壁画が発見された。縄文期の豊かで独特の美意識をうかがわせるこれらの作例は、従来の縄文文化観を再考させることになった。  

高知県立美術館開館

1993年11月

昭和62年に構想され、その後建設がすすめられていた高知県立美術館(高知県高知市高須353-2、運営は県の外郭団体高知県文化財団があたる)が、3日開館した。「南の人と自然」を美術館創設のコンセプトにおき、コレクションは大きく三部門にわけられ、「路上の花束」(1935年)をはじめとするマルク・シャガールの油彩画4点、版画を中心としたドイツ表現主義と80年代の新表現主義の作品、それに山脇信徳今西中通ほかの郷土関係の美術家の作品からなり、所蔵作品は、寄贈をふくめ約1900点になる。開館記念展は、同日から23日まで、「ark of ART 美術の方舟」を開催した。

日本芸術院新会員決定

1993年11月

日本芸術院(犬丸直院長)は19日、今年度の会員補充選挙を行い、新たに4氏を会員とすることを内定、美術関係からは、洋画家藤本東一良、書家小林斗?が選ばれた。日本芸術院の定員は120人だが、これで会員数は107人となった。この内定は、総会の承認を経て、12月15日付で文部大臣から発令された。

第5回世界文化賞決定

1993年10月

財団法人日本美術協会が主催し、芸術の分野で世界的な業績をあげた芸術家に贈られる世界文化賞の第5回受賞者に、建築家丹下健三、画家ジャスパー・ジョーンズ(米国)、彫刻家マックス・ビル(スイス)らが選ばれた。授賞式は、28日東京元赤坂の明治記念館で行なわれた。